数日前に実家で起きた話。
実家では「ヨンタ」という名の猫を飼っている。頭突きが好き。猫が家を出入りするため、一階のリビングから庭へ出るための窓は網戸にして、猫のサイズ分、開けっ放しにしている。
ヨンタは近所のボス猫に追っかけ回されたりすると、すごい勢いでこの網戸のスキマから部屋の中に飛び込んでくる。
夜中の0時過ぎ。ヨンタは外に出ていた。リビングで「スーハースーハー」と妙な音が聞こえてくるので行ってみると、ヨンタとは別の、近所でも目にしたことのない化物の様にひどい形相の猫がこっちを見ていた。何かの病気にかかっているのだろう。口の周りがヨダレでベチャベチャに濡れていて、なお、ヨダレを垂らしている。ニオイもひどい。胴体はやせ細っている。妙な音はこいつの苦しそうな呼吸の音だった。
こんな化け猫に家の中を歩き回られたらたまったものではないので、即刻追い出そうと、威嚇をする。大抵の猫はちょっと威嚇すれば人の家から出ていくものだけど、こいつは違った。ちっとも出ていかない。あんな不気味な体では持ち抱えるわけにもいかないので、そばにあったダンボールを使って、外に押し出した。
ヨンタが心配だ。玄関から外に出て、ヨンタを探す。駐車場の車の下にヨンタはいた。その向こうには、庭から駐車場に回ってきた化け猫がいた。
ヨンタを抱えて、家に戻る。夏なので、玄関の扉も網戸にしていたのだが、網戸の向こうには化け猫がいて、網戸をガシガシやっている。今にも網戸を開けて入ってきてしまいそうな勢いなので、扉をちゃんと閉めることにする。
化け猫は父親が寝ている六畳間の網戸の前に回ってきて、網戸をガシガシし始めた。父親はうなされている。父親がうなされているのはよくあることなので、化け猫の影響なのかは定かではない。
化け猫がどこからも家に入れないよう、一階にある全ての部屋の窓を閉じて回った。
気味の悪い夜が明けて、次の日。ヨンタの前に飼っていた、1年と半年ほど前から行方不明になっている猫のことが頭をよぎった。名前は「ミイ」。シッポがフサフサのモフモフで、近所の猫にはそういうシッポを持ったものはいなかった。でも、昨日の化け猫のシッポはフサフサのモフモフだった。
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ラーメン屋でそんな話を母親に聞かされてゾッとしました。なにその怪談。まさか、まさか、ミイじゃないよねその化け猫。「違うとは思うけど、ミイの顔がどんな柄だったかよく覚えてなくて、ちょっと自信が無い」というので、ぼくのケータイに残ってた画像を確認してもらう。
こんなですよ。
「化け猫はもっと額に白いのが広がってたし、目がギョロっとしてた。ぜんぜんミイじゃない。」
はーよかった。心底ほっとしました。しかし、もし、あの化け猫が変わり果ててしまったミイだったとして、それに気付いてやれなかったのだとしたら、心底残酷な話です。。。
もふもふ!