三途の川おさかなのブログ

だらだらしている

疑似ディレイという魔法

作曲ソフトの Domino を DL してきて、なにも設定せずに音をだすと、安っぽい音が鳴る。Windows 10 標準搭載の MIDI音源である MSGS の音だ。Domino は悪くない。

音源なんて設定次第でどんなすごい音にも入れ替えられる。でも、MSGS の安っぽい音には、どこか安心感があって、好きだ。この安心感は、小さな頃に長年親しんだスーパーファミコンのBGMの音に近い雰囲気を持っているからなのかと思う。

MSGS はディレイやリバーブといった残響系のエフェクトが効かないショボい MIDI音源 だ。そういう音源でも、ショボいなりに高級感を上げる方法をひとつ紹介したい。

疑似ディレイだ。セルフディレイとか、自分でディレイとか呼んだ方が直感的かも。この手法は「ヤッホー」て言ったあとに小声で「ヤッホー」て言うようなものだ。

以前に耳コピした曲を元に例を示す。

・疑似ディレイ - Mother(ステージ3BGM) - Axelayより

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a. メロディトラックのみ
b. ディレイトラックを追加
c. ディレイトラックのパンを反対方向にする

「b.」はメロディトラックの内容をコピーして、次の処理をしたトラックだ。
・すべての音符を8分音符分後ろにずらす
・ボリュームを 100 から 60 に下げる
このトラックを追加するだけで、ぜんぜん印象が変わる。

「c.」はディレトラックのパンを左(-40)から右(+40)に反転したものだ。音に囲まれ、空間が広がった感じになる。
空間の広がりを出そうと「a.」のトラックのコピーのパンを反転しただけだと、音が中央に鳴っているようにしか聞こえない。まったく同じ音を左右から出すと、パンを 0 にした音が1トラックで鳴っているのと同じなのだ。
それが、ちょっと鳴らすタイミングをずらしただけで、こんなに聞こえ方が変わるというのは面白い。
左から鳴った音が右にある壁に反射して、右からも遅れて同じ音が聞こえる様な感じで、脳が空間を認識するんだと思う。ディレイトラックをより後ろにずらすと、壁がより遠くにあることになるので、広い空間を感じることになる。

・間隔短めの疑似ディレイ- 殺神 - 特撮(バンド)

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ディストーションギターで、ディレイトラックを32分音符とか少な目のずれにして、パンを反対方向に振ると、良い感じに力強さを出すことができる。
NARASAKI さんの轟音ギターの雰囲気がディレイなしだと「1000分の1」。ディレイありだと「1000分の5」くらいには再現出来ていると思う。


・音色を変えて疑似ディレイ - ABSOLUTE EGO DANCE - YMO

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ディレイに使うトラックの音色を元とは違うものにすることで、不思議な感じにすることもできる。
元の音色はトランペット。ディレイを2段階にして、オルガンとビブラフォンの音色を使用した。

 

疑似ディレイはファミコンにも使われている。印象的な使われ方してて、ぱっと思い浮かぶのはドラクエ3ラーミア。あとロックマンのいろいろ。
ファミコンでフツーに音色を奏でるのに使えるトラックは3つ。疑似ディレイを使うと1トラック消費して2和音になってしまう。なので、曲中の部分的に目立たせたいとこだけ疑似ディレイを使って、他は3和音で構成するようなトラックのパズル的な手法が、しばしば見られる。

知っているファミコンの音楽でも、再生環境の縛りや、疑似ディレイが使われてるかを意識しながら聴いてみると、新しい発見があるかもしれない。