入院5日目。朝、尻の痛みで起きる。
痛み止めを飲む。昨日から痛み止めが変わった。ボルタレンから、ロキソニンに。弱い薬になったのかな。薬の包装にはロキソプロフェンNaの表記。看護師さんはロキソニンと呼んでいた。ロキソニンはロキソプロフェンを主成分とする薬の名称。ロキソプロフェンは素材名ということか。
また寝る。
夢を見た。実家に帰る。嫁さんが私の部屋を改造していた。
ポータブルモニターが窓の外側に設置されている。アームで吊り下げる形で。
窓ごし、網戸ごしに見るモニター。何の意味があるんだ。雨が降ったら壊れちゃう。改悪。
洗面所へのドアを開けるとレイアウトが変わっていた。洗面台と洗濯機の位置が入れ替えられている。床に引きずった跡。壁に引き剥がした跡。その影響なのか、床も壁面もボロボロの、ズタズタだ。
奥にある窓に、人差し指の太さくらいあるイモムシが数百。集まって、うじゃうじゃと、うごめいていた。窓の外側ではなく内側で、うごめいていた。
どうして、こんなことになっているんだろう。
母親を探してリビングに行く。知らない老人が何人か、くつろいでいる。親戚か?絨毯に腰掛ける母親らしき後ろ姿を見つける。正面に周り「お母さん?」と声をかける。母親のようなそうでないような呆けた顔が、こちらを見上げる。なんか違う。
そんな夢。気分の悪い夢。悪夢。
しんどい。何も出せずにトイレから出て、憔悴してベッドに戻るの。尻疲れの民。昼とか夜とか気にしていられない。トイレ、疲れる、寝るの繰り返し。
咳が尻に響く。咳をするたび、尻にするどい痛みが走る。カンチョー攻撃を食らっている様だ。やめてほしい。
昨日、便が出たのは良いことなのだが、尻への負担が大きい。
尻の痛みが悪化する。入院の経過日数に応じて、苦しみはなだらかに下降する曲線を描き、3日目ぐらいにはベッド上でノートPCを弄っている。ブログをさっと書いて、プログラミングを楽しむ。とか、のんきでごきげんな生活を思い描いていたのだが、そうでもない。ちょこちょこ気分が悪くなるので、仰向けになって安静になる時間が挟まる。気持ちに余裕が無い。入院1週間というのは大げさではない。必要なのだ。1週間。
尻からは血や浸出液が出続けている。それを紙おむつや、尻に挟んだガーゼの2段構えで抑える。ガーゼは1日に3、4回は取り替えて清潔を保たなければならない。紙おむつを脱ぎ、赤く染まるガーゼに目を通すのは気が滅入る。ガーゼが赤く染まらなくなったとき、かんぺきな尻。えいゆうの尻が手に入る(※1)。耐えるのだ。その時まで。
昨日は隣、今日は向いのベッドが空きになった。先輩の戦士たちが卒業していったのだ。メインボーカルのふたり。病室入口に並ぶ6つの名札欄も空欄が増えた。口を聞いたことはなく、廊下ですれ違うときに会釈をした程度の間柄だが、すこし寂しい。残りは私を含め、3人だ。だいぶ空いた。
朝ごはん。安心のローテーション。食パンセット。ブルーベリージャム。
昼ごはん。ちゅるちゅるのおそば。
晩ごはん。ミニハンバーグにウインナーで、お弁当気分。
※1. FF6には「血塗られた盾」という防具がある。装備して戦うと、なんか不利な状態になる。でも、ガマンして装備したまま255だか256だか戦闘回数をこなすと、血が洗い流されて、本来の姿を現す。「英雄の盾」になるのだ。