三途の川おさかなのブログ

だらだらしている

向かいの窓は日よけの幕が下がっているので、せっかくの晴れた素敵な景色が僅かに空いた隙間からしか見えないのです。なんだか窮屈で、圧迫感があります。同じ大きさの空間でも、見える景色によって気分は大分変わるものなのですね。

日よけの幕…。あれ、ちゃんとした名前はなんて言うのでしょうか。カーテンともブラインドとも呼べないのです。

それで、その、幸い向かいの席には誰も座って無かったので、次の駅にでも着いたら、日よけの幕を上げようと思っていたのです。ほんとは今すぐ上げてしまいたいものなのですけれど、おさかなの両脇には他の乗客が何人か座っております。日よけの幕を上げるのは車内では割と目立つ動作なので、ほんの少しの時間ですが注目されてしまうのです。それがなんだか嫌なのです。そこで動くきっかけとして駅への到着を選んだのです。あほらしい!

駅に着くと、目の前におばーさんが座ってしまいました。見事な位に目の前なのです。晴れ渡った青空と緑溢れる山々の景色を眺めたいというのに、今、おさかなに映る景色はどうでしょう。やや薄暗い車内、視界の中央にはよぼよぼのご老体。おばーさんには悪いのですけれど、この理想と現実の差はあんまりなのです。なんだか気を吸い取られてしまいそうなので、少し間を置いて、思い切って電車の最前列に向かってみました。

最前列の席にささっと座り顔を上げると、灰色が広がりました。ここでも日よけの幕は下りていました。そして向かいの席にはその半分を陣取って寝ているジャージ男がおりました。

「なんでやねん」

とツッコミを入れてやりたい気分なのです。

もうしょうがないので、立ち上がり、運転席付近の一角を陣取って景色を楽しむことにしました。車内はガラガラに空いていて、おさかな以外に立っている人はいなかったのでちょっと恥かしかったのです。でもそれを差し引いても、ここから景色を眺めている気持ちは良いものなのでした。そんな運転席付近を陣取るおさかなの後ろ姿といったらあやしさ満天であったことと思われます。

お昼下がり、現在、茅ヶ崎方面の電車に乗っているわけなのですけれど、なんだか不良っぽい見てくれの人が多く目に付くのです。目がみんな釣りあがっている様に見えてきました。どうなのでしょう。実際この辺りはそういう人たちが多いのでしょうか。

お腹が空いてきましたので、茅ヶ崎駅を降りて1時間程、食事も兼ねてうろうろしてみることにしました。行ったところはツタヤにヤマダ電気イトーヨーカドー。地元でお買い物するのとなんら変わりは無いのです。

イトーヨーカドーの地下に石焼ビビンバ専門店がありました。展示されている写真に写る石焼ビビンバが美味しそうだったので、お昼ご飯はこれを食べました。んまーい。ときおり奥歯を刺激する焦げて硬くなったお米の食感なんかたまらんのです。全ての米が焦げて硬くなっているのでは無く、ほんの一部がそうなっているのが良いんですよね。

熱海駅で、次の電車が来るまで20分強の時間があったので、また駅を降りてみました。青春18きっぷは乗り降り自由というのが最大の利点ですね。ルーズなおさかなにはぴったりです。熱海は割りとよく耳にする名前なのでどんなところなのか興味がありました。

駅を1歩出ると、観光者さん歓迎~というような、いかがわしい景色が広がりました。町並みはやたらと傾斜があってとても入り組んだ作りになっております。そこらかしこに秘密の場所に通じていそうな細い路地が見受けられて、子供心を刺激させられました。カメラを買い、気に入った一角を何箇所か撮影しました。

海の見えるところまで来ると、そろそろ電車の発車時刻が気になりだしましたので、熱海駅があるであろう方角に向けて、当てずっぽうに走りだしました。変てこな地形は駆け抜けていくだけでも面白くて、テンションが無駄に高くなってきました。例えるならば、はしゃぎ回る犬の様。熱海にはまた後で来よう。

さて、そんな今日のおさかなぶらり旅の事の発端は、ひよりさんから1ヵ月ほど前にご連絡をいただいたことにあるのです。なんでも彼女が高校で所属する音楽部が地元でオペラ公演をやるのだそうで、暇がござったら観に来てみませんかというようなお話なのでした。

オペラ公演なんて実際に観たことも無いですし、また新たな世界を知ることが出来そうなので、観てみたいと思いました。

ひよりさんは静岡県にお住まいなのです。埼玉からだと普通電車で4時間くらいかかりましょうか。せっかく遠くまで行くのにすぐに帰っちゃうのも勿体無い。そこで2泊3日のぶらり旅を計画し、その初日に静岡に訪れることにしましたのです。

オペラ公演の内容は喜歌劇「こうもり」。喜劇の代表とも言える作品なんだとか。オペラと聞いて、おさかなはなんとなく暗ーいおはなしを想像していたのですけれど、これは喜歌劇。喜ばしい歌劇ということで、面白くて笑えるものなのです。それから詳しく言うと、これははオペラでは無く、オペレッタなのだそうな。オペラはセリフも全て歌で表現するのに対し、オペレッタは歌の他に普通にセリフを言う場面も持っているのです。